子供の頃、母がよく近所の和菓子屋さんでおやつに和菓子を買ってきてくれました。
みたらし団子に桜餅、子供ながらに和菓子好きだった私は、昔からなじみのある桜餅が、実は関西では桜餅として認識されておらず、それまで道明寺という名前で知っていたお菓子が関西の桜餅だと知った時は驚きました。
関東風の桜餅は長命寺という呼び名があったのですね。
自分に馴染み深いお菓子が、意外と知られていないとわかり、ちょっとご紹介してみたくなりました。
ひな祭りの季節に出回る桜餅。桃の節句に桜餅を食べる?
最近では、ひな祭りの季節になると、和菓子屋さんでは桜餅が店頭に一押しのように並び、私もすすんで食べるようになりました。
仕事の帰りでは売り切れてしまうことも。
でも、ふと気づくと、昔はひな祭りと言えば雛あられと菱餅だけでしたね。
桜餅が売られるようになったのは、あまり特別な理由もなく、ピンクの色が女の子の節句に合っているからのようです。
考えてみれば、桃の節句なので、桜餅を食べる言われはないのですね。
菱餅も、昔は3色のひし形のお餅だけのものとか、かみなりおこしのような菱もち型のお菓子だけでしたが、最近ではひし形のケーキなども売られており、ピンク色のケーキなどもあって、楽しいです。
そして、冒頭の桜餅ですが、ひな祭りに食べるようになるとは別に、関東で生まれ育った私が桜餅だと思っていたのが、関西ではまったく認知されていなかったそうで、これは少し寂しいものです。
関東風の桜餅は長命寺。関西の桜餅は道明寺が主流の驚き
関東は東京の多摩地区で生まれ育った私は、近所の和菓子屋さんで母が買ってきてくれた桜餅は、ペラッとしたピンクの皮で餡子をつつみ、さらにそこから桜の葉っぱの塩漬けで包むというお菓子ですが、道明寺は粒々のピンクお餅で餡子が包まれています。桜の葉っぱの塩漬けを使うのは双方同じですね。
両方おいしくて好きですが、私にとって子供の頃からなじみがあるのはやはり関東風のぺラッとした皮で包まれた長命寺のほうです。
クレープみたいと言う方もいらっしゃいますが、しっとりとしていて、桜の葉っぱの風味と塩っ気とこしあんの餡子のほんのりした甘さがなんとも言えないハーモニーなのです。
桜の葉の塩漬けは一緒に食べます。
この桜餅が主流ではないと言われた時の驚きと言ったら、以前、関西の友人と話をしていて、私が551の豚まんを始めて知ったので、食べてみたいと話したら
「551は全国区ではなかったのか!」
と、驚愕されたのと同じ驚きではないかと思います。
今では通販でも購入できますし、大人になってからは職場でお土産に頂くこともあり、有名だと知りましたが、子供の頃からのなじみだったものが、実は全国ではあまり知られていなかったという状況が一緒だなと思いました。
桜餅の葉っぱはソメイヨシノではありません
ここで少し雑学なのですが、桜餅に使われる桜、オオシマザクラという桜の種類だそうで、葉っぱが大きいため、この桜の葉を使うようになったとか。
このオオシマザクラ、もし葉桜の木を見つけたら、葉の香りをかいでみてください。
『クマリン』という、可愛い名前の成分が香りのもとだそうですが、本当に桜餅の香りと言えるような芳香があるのです。
関東風桜餅の長命寺も歴史のあるお菓子。是非お召し上がりください
関東風の桜餅、クレープタイプと呼ばれる長命寺ですが、くるくるとロール型になっているものから、
包むようなタイプ、
葉っぱが両側から挟んでいるタイプなど、色々な形があります。
ちなみに、
クレープに包まれたような桜餅の隣にあるのは、丹波の黒豆大福。
銀座あけぼのさんで売っていますが、季節商品の場合も。
葉っぱに挟まれているタイプの隣にあるのはあわ大福という非常においしい大福です。
紀の国屋さんという和菓子屋さんで売っています。
紀の国屋 あわ大福
その日のうちにお召し上がりくださいというお菓子はたいてい非常においしいものです。
葉っぱに挟まれたタイプは、塩味が強いので、甘い味を期待していた方には物足りないかもしれません。
長命寺も、江戸時代から愛され食べられているお菓子なので、まだ食べたことがない方は、是非お試しください!