単発のアルバイトは、単純作業になればなるほど、すぐに働ける確率が高くなると感じます。
今回は、軽作業の単発アルバイトのレポートです。
軽作業と言っても色々とあり、体力も腕力もなく、機械の扱いもわからないという人でも、流れ作業ラインに乗ることができれば即戦力です。
ですが、実は今回、色々アルバイトを経験した私にとって、もう勘弁してくださいと思う一番か二番を争うほどのキツい仕事でした。
もちろん、世の中にはもっときつい、厳しい仕事が山ほどあるのは知っております。
自分ができそうかな?と思ってやってみた仕事の中で、ワーストというわけではないのですが、自分にとって体力的精神的にも厳しかったのです。
マシーンになる体験とでも言いましょうか。
完全な歯車として働くとはこういうことなのかと思いました。
軽作業単発アルバイトはメールと電話の確認で即決まり!
アルバイトWeb情報で見つけた仕事にポチっとエントリーして、Web登録を済ませ、仕事の情報をメールで送りますか?という問いに「はい」と答えると、あなたのメールアドレスに続々と単発のお仕事が流れてきます。
それは、時給にしては高いものではないのですが、紹介メールが頻繁に来るので、
「暇な日にすぐ入れるな。」「暇してるぐらいなら働こうかな」と思わせる何かがあります。
2009年に『銭ゲバ』というテレビドラマがありました。
松山ケンイチさん主演で、ジョージ秋山さん原作の漫画を、現代風にリメイクした物語です。
お金に執着している貧乏な境遇の主人公が、アルバイト先の社長令嬢に取り入って成り上がってゆくサクセスストーリーと思っていたらとんでもない!・・・な展開の、闇の深い物語です。
そのドラマの初期の頃に、松山さん演じる主人公の蒲郡風太郎(がまごおり ふうたろう)が、持っているガラケーのメールから来る仕事情報でアルバイトをコツコツしている場面があり、それがなんとも、作業単発アルバイトのソレなのですね・・・
さあ、そんな松ケンになりきって単発軽作業の始まりです。
携帯メールでのアルバイト情報に、仕事希望と返信を出せば、担当の方が電話をかけてくださり、仕事当日は駅で集合と詳細を教えてくださいます。
一度経験しておけば、銀行など振込先が登録されますので、後々また単発で仕事がしたいときは便利です。
軽作業のアルバイト情報は、不定期ながら結構頻繁にメールで情報が流れてきますので、場所さえ選ばなければ色々あるようです。
私は家から比較的近い場所でよく募集をしているところへ行くことにしました。
単発軽作業アルバイトは老若男女入り混じりのカオスワールド
凍てつく朝、作業をする倉庫のある最寄り駅へと向かいます。
この駅は、今まであまりなじみがなかったのですが、調べてみると多くの企業の倉庫が立ち並ぶ地域であり、似たようなアルバイトの募集があちこちで行われているのだと、後に一緒のグループで働いていた経験者の女性に教えて頂きました。
やはり何処にもベテランの方はいるようです。
ですが、集合場所へ集まってきた方は、男性女性、若い方、既にリタイアした感じのシルバーの方なども。
特別なルールを覚えることもなく、ひたすら手を動かす軽作業だけに、どんな方でも健康であればウェルカムのようです。
駅から目的地まで、案内の方に連れられて黙々と歩いていた私たちでしたが、若い方や女性の中には、隣を歩いている方に「初めてですか?」などと話しかけて、自然と仲間ができていくようです。
職場となる建物へ案内され、到着したグループごとに食堂のテーブルで簡単な説明を受けます。
それから班にわけられ、男女別にロッカーへ案内されて、作業着に着替えます。
作業着には携帯を入れることのないようにポケットはついていません。
女性と男性では作業着の色が違います。
作業場では飲食と、もちろん喫煙は禁止。時計は作業場にあるため、スマホや携帯も持ち込み禁止です。トイレは必要があれば担当のリーダーに言えば行けるようです。
お昼と、午前と午後に一回ずつ15分ぐらいの休憩があったかと思います。
ロッカーで着替えてから、再び食堂に集まったら、作業場へ移動です。
若い人たちや女性陣は、もう冗談まじりで会話するようになっていました。
私は始めの頃は黙っていましたが、あまり情報のない場所へ集まっていきなり仕事が始まるとなると、不安から話しかけることが多くなるようで、隣の方が話しかけてきたので、適当に会話もしていました。
作業場に案内されると、髪の毛が抜け落ちるのを防ぐために使い捨てのシャワーキャップをかぶるように指示されます。
作業着とシャワーキャップで、老若男女みんなわけのわからない姿になります。
作業場には長い作業台が数台並べられ、その作業台の両端に向かい合って並んで、流れてくる作業をしていきます。
私たちのグループが到着したときには、既に他の作業台2列ほどのグループが作業を始めていたようです。
どうやら初めてのグループ(私達)と、以前来たことのある経験者のグループで作業開始時間も違うようです。
単発軽作業アルバイトの本日のお仕事は贈答用タバコの化粧箱組み立て
作業台に並んだ私達の前に、赤い色の厚紙の束がありました。
厚紙にはあちこちに切込みが入っており、これを広げたりはずしたり組み合わせると、おしゃれなタバコを入れる化粧箱が出来上がるというわけです。
今ではあまり見かけなくなりましたが、コンビになどのレジ横で、タバコにライターのおまけがセットになって入って売っているのを見たことがあるでしょうか。あの箱の組み立てです。
箱はお正月風にデザインされたもののようです。
折る順番が決まっているため、ライン上の上流から少しずつ折っていき、ここからここまで折ったら次のグループへ引き継ぐ、流れ作業になるようです。
箱を組み立てる流れ作業にすぐ慣れる人とそうでない人がおり、作業台が見渡せるところから、リーダーの方が、流れの止まっている場所に熟練者を入れてラインの流れを整えます。
始めは作業を覚えるためにもくもくと手を動かしていましたが、みんな慣れてくると少し会話をするようになりました。
なにしろ単純作業なので、手を動かしているだけでは飽きてしまうのです。
しかし、各作業台の並ぶ横の壁にあるボードには、作業台の班の名前が書かれてあって、進捗状況が時間ごとに書き込まれていくので、話をしているとすぐ追い抜かれてしまいます。
グループごとの競争に燃え始めて、いつのまにか真剣勝負を始めている男性もいました。
単発軽作業アルバイトで出会ったみなさま
私の班は、大学生男子、専門学校の女子、フリーター、幼稚園のお子様の居るお母様、中年男性、孫の居る女性、中年女性(私)と、色々多彩な顔ぶれでした。
午前中延々単純作業で嫌気がさしたせいか、昼休憩に入ると、朝の説明時は緊張で話もしなかった男性も、口々に疲れたと笑いながら、妙にハイテンションでお喋りをはじめました。
横のつながりしかない、軽作業ならではの光景なのかもしれません。
今回は2日間の募集で、2日あるうち1日でもできる方は可とありましたので、私は試しに1日やってみて、できそうであればもう1日こようかと思っていましたが、昼には今日限りでやめようと決心していました。
始めに2日やると言ってしまったという男子大学生は、
「これがあと1日あると思うと気が狂いそうだ!」と嘆いていました。
しかし、隣に居た専門学校の学生だという、自分に子供がいたら、下手するとこのくらいの子がいるかもしれないと思わせる、まだ10代の女性は
「みなさん2日目は来ないんですか?みんなやりましょうよ!」と、周りの苦笑いをよそに妙にノリノリで誘ってくるではありませんか。
その横で、ママ同士で情報交換をしている際に、自分の娘を入れた幼稚園は地域で一番高額だと知ってショックを受けていた若いお母様は、ようやくこちらへ振り向いて、
「どうしてここがそんなに気に入ってるの?ここより楽な仕事たくさんあるよ?」
と聞いたので、みんな興味津々に耳を傾けていたところ、
「だってここ、そんなにひどくないですよ?音楽だって聴けるし、簡単な作業でお金もらえるじゃないですか!」とのことでした。
若くて体力があってコツコツ作業するのが苦ではない方にはぴったりなのかもしれません。
音楽ですが、私が今回きりでいいやと思ったのは、退屈しのぎか眠気を防ぐためか、リズムをとりやすくするためなのかはわかりませんが、作業中にジャニーズなどのアイドル系ポップ音楽がかかることもあってなのです。
しかも、音質のあまりよろしくない機械で流している音楽が、閉鎖した空間に妙に響いてくるのです。
耳慣れない曲がガンガン流れて「ああこれは地獄のようだ」と思った私とは裏腹に、若い彼女にとっては、なじみのポップソングが聴けて、鼻歌まじりでできる楽しい仕事となるのでしょう。
午後には、感度の悪い音楽にも慣れてきた私達中年以上グループも、「これは聞いたことがある」「この曲は知っている」と、曲を楽しむほどではないけれど、退屈しのぎにはできるようになりました。
午前中からずっと、私の隣には先ほどの専門学校の若い娘さんがいましたが、この仕事が気に入っていると言っていた彼女は、突然仕事中にバタッと足を崩して倒れこみ、具合でも悪くなったかとみんな心配していたら、作業しながら眠ってしまったそうでした。
どんな境遇でここのアルバイトをするようになったのかはまちまちですが、お金を稼ごうと集まってきた方々が、年齢性別問わずワイワイ仕事をするのは、割と楽しいものでした。
つらい仕事に耐えかねて、少しのことにでも喜びを感じようとする心理が仲間意識を育てるのかもしれません。
単発軽作業アルバイトようやく終了
軽作業のアルバイトは、1日のみの方もいれば、時間も短い人と長くとる人とで分かれていました。
私は、体力的に持つかどうかわかりませんでしたので、17時で終了させてもらうと決めていましたが、他の方は少しでも稼ごうと思ったのか、18時まで残るかたも居られました。
15時で抜ける方をみて、ひどく羨ましかったくらいでしたので、終わった頃には「助かった」とまで思ったものです。
リーダーさんが、「もう終了の時間ですね?お疲れ様です」と声をかけてくださり、私の抜けた隙間を補充するための新しいフォーメーションを組んでいました。
ずっと隣にいた専門学校の彼女は、
「もう帰っちゃうんですか?」と名残惜しそうにしてくれました。
こういう子がいると可愛いのでここも悪くないなと思うのですが、オバサンもう疲れちゃったのゴメンなさいねえ・・・
逃げるように食堂に戻り、今日働いた時間の記録を提出し、振込みの手続きをしてもらってロッカーへ戻り、すっかり暗くなった外へ解放されました。
立ちっぱなしの足が棒のようになり、歩くのが大変でした。
冷え切った体を少しでも温めたくて、帰宅途中に寄ったサンマルクカフェのチョコクロワッサンに慰められました。
自分にはあれは体力的にもう無理だなと思いましたが、リピーターも勿論いらっしゃるようですので、足腰に自信のある方はお勧めです。
ジャニーズなどアイドル系のポップスが好きな方も気に入るかもしれません。
単発バイトレポートはまだ続きます。