暮れも近づく頃、当時の私は、平和な正月を迎えられるかどうかの瀬戸際に立っていました。
給料が失業給付でもらっていた額より少なく、このままでは先の見通しが絶望的だと思い、単発でできるダブルワークを考えました。
常勤でのダブルワークになると、さすがに通常の仕事へ支障がありそうだったので、余裕のあるときに入れる単発のものが良いと思ったのです。
休日は家事もあるので、平日の仕事終わりの時間にできる仕事を探してみました。
そこへみつけたのが、テレアポの仕事でした。
今回は、テレアポ単発アルバイトのダブルワーク経験をレポートします。
単発テレアポのダブルワークアルバイトは平日の夜間狙いで
Webで見つけた単発アルバイト広告にはこんな風に書いてあった記憶があります。
お仕事のあとに少しだけダブルワークでお小遣い稼ぎ!テレホンアポインター
仕事のあとの時間を生かしてダブルワーク!仕事帰りに電話のお仕事!
交通費支給!時給2,000円!
時給2千円で2時間やれば4,000円、交通費支給で2時間だけ仕事の終わりに働けば、一週間分の食費も浮くな・・・
食費一週間分が浮くのは大変助かります。
テレアポなら、ずいぶん昔だけど通信販売のクレーム処理をしたことがありました。
普段は事務職なので、電話対応も少しはできるはずです。
Webのエントリーボタンを早速ポッチリしたところ、電話が早々にかかってきて、希望の日程や希望の場所を聞かれました。
どうやらすぐに仕事には入れそうですが・・・
単発テレアポのダブルワークのアルバイトですぐにお金は手に入る?
単発のお仕事で、すぐに入れます!すぐお金が支払われます!という「すぐ」は、決してこちらにとってはすぐでもありません。
単発アルバイトの募集をするのは、大抵は派遣会社などの間に入っている会社です。
そこが、人を募集している会社から依頼を受けて人材を手配するのが今はほとんどです。
ですので、お金が支払われるのは、仕事をした会社から直接ではないので、働いたあとに、すぐ「ご苦労さん」と報酬をもらえるなら良いのですが、直接雇用でない場合、それは難しいのです。
人が足りない会社が、自ら広告を出して面接などをすると余計に忙しくなってしまいますので、直接雇用での単発アルバイト募集を探すのも、現在はなかなか難しいものです。
昔からのコネや、かつて働いていた場所でしたら、融通も聞くでしょうが、飛び込み単発ですぐお金をもらえるのは、ほぼ期待できないと思います。
単発アルバイトの募集会社に登録
時に、募集広告を出した会社にエントリーすると、登録会へ来てくださいと言われます。
これは、募集をしている仕事はすでに決まっているものの、人材を集めておけばいざというときに人がすぐに補充できるからということもあり、登録に行っても仕事にならなかった場合もあります。
必要な流れとはいえ、電話をかけて「すぐ来てよ!」と言われて、働いて、仕事が終わったら「はいご苦労さん!」とお金がすぐに受け取れたらどんなに便利でしょうが、余程の差し迫った状態でない限りは、なかなかそういうことはありません。
別の仕事でエントリーしたときは、土曜の午後の部の登録へ出かけました。
登録会はビルの一室で行われました。
単発のアルバイトについての雇用契約に関するきまりなどを説明され、他にも仕事を希望する場合、どのような仕事が希望かなど、簡単な職務経歴のエントリーシートを書きます。
登録に履歴書も写真も不要!などと募集広告にはあるのですが、エントリーシートをその場で書かなくてはならないため、時間がとられます。
さらに、写真は不要と書いてありますが、自分で用意することはないということで、手持ちのスマホで自分の写真をとって、データを送ってくださいと言われました。
手持ちのスマホで撮ったブッサイクな画像を登録するぐらいなら、あらかじめ撮ったマシな顔の画像を使ってほしいと思うほどです。
とにかく、登録は終わり、単発ながらも決まるといいなあと思いながら、その日は仕事もなにもなく2時間ばかりをつぶして、すっかり冷え込むようになった夕暮れの街なかをトボトボと帰宅するのでした。
今回の場合、急なことで人が集まらなかったのか、登録うんぬんはなく、Webでのエントリーシートを見た担当の方が、すぐさま電話をしてきました。
こちらの希望した場所と時間も見ているので、これこれこういう仕事をするので○○駅の○○店へ行ってくださいと指示をしてきました。
こちらがある程度、仕事慣れているなと思うと、ほぼ丸投げ状態な場合もあります。
現地で依頼者の担当の方から直接仕事の内容を聞くので、とにかく行ってくれとなり、ぶっつけ本番に近い状態で仕事が始まります。
テレアポでよく聞くアウトバウンドとインバウンドとの違い
ここで、テレアポはあまり知らないという方について簡単な説明をいたします。
テレアポにも色々あり、よく聞くのがアウトバウンド・インバウンドという言葉です。
言葉通りですが、アウトバウンドはこちらからかける側。営業などです。インバウンドは、クレーム対応や受注など、相手からかかってくる電話を受ける側です。
どちらが向いているかは、個人の志向によるかと思います。
インバウンドで、クレーム対応を受ける場合などは、相手は怒っている場合が多いですので、なんとか怒りを静めてもらいながら、苦情を聞き取って解決に向かうようにしなくてはなりません。
余程難しい問題でなければ、電話を取ったものが対応しなくてはならず、逃げることはできません。
ですが、人によっては、アウトバウンドのように、こちらから電話をかけてもすぐに切られて相手にもされないよりは、仕事として成り立つだけマシなのだとも言われます。
どちらにしても、感情のある人間相手の仕事ですので、電話の取り次ぐ内容によっては、迂闊なことを言えない場合もあり、ことばひとつで、受け取られ方も変わってしまいますので、大変神経をつかう仕事でもあるのです。
単発テレアポ体験はカーディーラー店内でのアウトバウンド
さて、登録した会社から電話のみの指示で向かうことになった先は、某カーディーラーの店舗でした。
「こちらから書類は先方に渡してありますので、判子だけもって行けば大丈夫です!」
などと言われ、たった2時間の単発仕事に丁寧に説明してられるかと言わんばかりです。
まあ、長く続ける仕事とは違うので、こちらにしても、やることやってお金だけもらえれば良い、金以外望んでいないという場合、お互いドライに徹するのが一番効率的でしょう。
自分では四輪車を持った経験がないので、果たしてアウトバウンドでどんなことができるやらと思っていたのですが、お店に到着して、店の担当の方から10分ほど説明を聞いたところ、最近顧客に送ったダイレクトメール(はがきで通知したお知らせ。以下DM)に目を通してもらっているかの確認とご来店の案内をしてくださいとのことでした。
顧客名簿を渡され、2時間の間にできる限りでよいので電話をかけてくださいとのことです。
ああ、それだけか。
そう思った私はまだまだ修行が足りない年齢だけはいっている青二才でした。
単発テレアポのアウトバウンドは、かけてもかけてもつながらない・・・
みなさんは、突然自分の家に知らない人から電話がかかってきて
「お時間よろしいでしょうか。○○について説明させていただきたいのですが・・・」
などと言われたら、よほど暇でないかぎりは
「今手が離せません」「うちは結構です」と、電話を切ってしまいますよね。
今回は、車検期限の迫っているお知らせのDMを出した、顧客名簿のお客様にあてた電話とはいえ、相手がこちらに用がないときに、こちらから電話をかけることのなんと大変なことか。
なにしろ、師走の夕方の時間帯で暇な人なんていないのです。
たまに出てくれても、車のオーナーさんがその時間帯に家に居る確立は低く、大抵、奥様かご年配のお母様・・・
それでも、自分のうちの車を買ったお店からの電話だからということで、一応対応はしてもらえるものの、大抵は「伝えておきます」「今お父さんいませんので」ですぐ終了です。
留守電に録音するときのほうが話すことが多いほどで、かける回数は増え、呼び出し音ばかり聞いているので耳がだんだん麻痺してきます。
おまけに、暮れの夕方のディーラーの店舗の隅で電話をかけ続けていますので、ガラスの隙間風でジワジワと足元から冷えてきます。
始まる前に、電話をかけるからのどが渇くだろうと頂いた紅茶も、半分ほど残っていたのが冷え切って冷たくなっており、寒かったのですが残すのも失礼かと全部飲んだらトイレに行きたくて仕方ない。
そして電話をかけてもかけても、いつまでたっても時間が進まないような感覚。
ようやく終わった頃には、喉よりも受話器を持った手が固まってガチガチで、肩と足元も冷えてガチガチ。
これは続けてやりたいと思う仕事ではないわ・・・だから単発なのだわ・・・
顧客リストのチェックと、かけた件数、電話に出た方、はがきを見ていたかどうか、など、ざっくりと集計したものを担当の方に見せたところ、
「あ~やっぱり電話出る人少ないですねえ~・・・まあ仕方ないですね」
などと仰るので、なんというか、店の方にとってもダメ元で、見返りが少ないのはわかっている仕事だったのでは・・・
書類に終了したサインをもらい、こちらも終了した書類にハンコを押し、ようやく寒い夜空の下、開放されました。
単発テレアポ体験おわりに
今でも思い出すのが、開放後の夜空の下、駅へ向かう道のりの木枯らしの冷たさです。
駅前の24時間スーパーの明かりが私をなぐさめてくれました。
24時間スーパーの店員さんはまだ働いているんだな、すごいなと思い、夕飯を買って帰りました。
テレアポの仕事は色々な用途があり、業務形態もさまざまで、時間も選べることが多いし、なにしろ自分の姿は見えない仕事ですので、ダブルワークとして働くには便利です。
テレアポは常にどこかで需要がありますので、抵抗のない方であれば、不況対策にはおすすめだと思います。
世知辛い世の中ですが、みんながんばっていると思うと頑張れますね。
それでは!